サントン人形

サントン人形とは

 サントン人形とは、フランス・プロヴァンス地方で作られている土人形です。 19世紀のプロヴァンスの人々の伝統的な衣装や、生活の様子を表現しています。

 「サントン」という言葉は、プロヴァンス語で「小さな聖人」を意味する"santoùon"という語に由来します。 また、イタリア語で「美しい聖人」を意味する”Santi Belli”の短縮形、”santoni”に由来するとも言われています。

 フランスの家庭ではクリスマスシーズンにサントン人形を飾ります。 キリスト降誕の登場人物を中心に、毎年少しずつ買い足していき、多くの人形を飾りつけする家庭もあります。

サントン人形の歴史

 プロヴァンスでは、17世紀頃から、クレーシュ(crèches)と呼ばれるキリスト生誕の像が新しい形で作られるようになりました。 従来の浅浮き彫りの像から木製の彫刻像になり、さらに操り人形や時計仕掛けの像などにも発展していきました。

 18世紀末にフランス革命が始まり、その混乱で教会が閉鎖されると、人々はクレーシュを見る機会を失い、クレーシュ製作者も仕事を失いました。 そんな中、マルセイユの Jean-Louis Lagnel (1764-1822) が、一般の人でも買える手ごろな価格で人形をつくり売り出したところ評判になりました。

 サントン人形は、その後次第に発展し、プロヴァンスの伝統産業となりました。 マルセイユやオーバーニュ(Aubagne)等の都市ではサントン人形のフェアが開催されるようになり、現在では11月から12月にかけて、プロヴァンス地方の各都市でフェアが開催されています。

サントン人形の作り方

 サントン人形は、マルセイユやオーバーニュの良質な土から作られます。 土を人形の型に入れて固め、乾燥させたあと、素焼きします。その上に手作業で、細かく丁寧に絵付けをして完成させます。

サントン人形、パン屋さん

サントン人形、酪農

サントン人形、ガチョウと少女




サントン人形の魅力

 サントン人形は、本来はクリスマスの飾りですが、丁寧に作られた素朴で愛らしい人形は、工芸品としても魅力のあるものです。 その魅力とは。。

一品もの

 サントン人形は手作りなので、一品一品がすべて異なります。 同じ工房の同じ作品でも、それぞれ微妙に顔つきが異なります。 また、製作時期によって衣装の配色を変えたりします。 ひとつとして同じものはありません。 ぜひ、お気に入りの一品を探してみられてはいかがでしょうか? ちなみに当店では、一品一品、個別に画像を見比べて選べるようになっています。

種類が豊富

 サントン人形は、様々な大きさや種類のものがあります。 工房も十数軒あり、それぞれ特徴のある人形を作成しています。 工房によっては、数百種類もの人形を製作しています。 人形の種類は、大人も子供もあり、さらに羊、ロバ、ヤギなどの動物もあります。 また、家や樹木、噴水などの飾付けのアクセントになるものも作られています。

シリーズで楽しめる

 サントン人形にはいくつかのシリーズがあります。 基本的なものは、キリスト降誕に関するもので、(赤ちゃんの)イエス、マリア、ヨセフ、三賢人、天使などです。 その他、オリーブ摘みや羊飼いなどの農村の人、パン屋さんやお菓子売りなどの町の人などのシリーズもあります。 お好きなシリーズで毎年、少しずつ集められてはいかがでしょうか?


配色違いの例

サントン人形、キリスト降誕

キリスト降誕

サントン人形、羊飼い

羊飼い

サントン人形、ラベンダー

ラベンダー摘み




大きさと特徴

 サントン人形は、様々な大きさのものがあります。 小さいものは高さ 2cm 程のものから、大きいものは高さ 15cm 程のものまであります。 当店では、小さなものに限定して仕入れており、現在、4cm と 7cm のシリーズを扱っています。 ちなみに「7cm」というのは、人形の実際の高さではなく、人形のスケールを示しています。 つまり、大人の人形の背の高さを 7cm として、子供や犬や猫などの小動物等は、それに合うように、より小さく作られています。

4cmスケールの人形

 4cmの人形の第1の特徴は、やはり「小さい」ということです。 小さいので沢山集めても場所をとらず楽しめます。

4cmはこんな方にお勧め!

  • ・とにかく小さなものが好きな方
  • ・たくさん集めて景観を作りたい方
  • ・飾るスペースが限られている方

7cmスケールの人形

 7cmの人形の第1の特徴は、種類が豊富なことです。 製作している工房も多く、またひとつの工房内でも多くの種類を作っています。 人の人形だけでなく、動物も様々な種類があります。 そこそこの大きさが有るので、2,3の人形でも映える飾りつけができます。 また、作り手にとっても作りやすい大きさなので、細かな造形を施してあるものが多いです。

7cmはこんな方にお勧め!

  • ・少数の人形で飾りつけをしたい方
  • ・動物を中心に集めたい方
  • ・人形の造形を楽しみたい方

必要スペースの比較

 ご参考までに、4cm と7cm の人形を 同一スペース(A4サイズ、21×29.7cm)に飾った場合の様子を紹介します。

サントン人形の大きさ比較

大きさの比較

4cmサントン

7cmサントン




Santons Richard 工房

 1968年より代々、ご家族でサントン人形を製作している工房です。 ご主人が造形、奥様が絵付けを担当されています。 ご主人は、若い頃からお父様の仕事を継がれて豊富な経験をお持ちです。 奥様も、とても丁寧に、細かい絵付け作業をされています。 Richard 工房のサントン人形は、どれも顔立ちが可愛らしく、衣装の色合いも素敵です。 また面白いポーズのものが多いです。 現在、4cm、7cm、9cm のサントン人形を製作しており、種類も豊富です。

当店では、Richard工房から次の比較的小さな商品を仕入れています。

 工房はプロバンス地方の Aix-en-Provence(エクス=アン=プロヴァンス)という町にあります。 年間を通じて晴れの日が多く、気候温暖、風光明媚な町です。 町には噴水が多くあります。

 Aix-en-Provenceは画家セザンヌの故郷としても知られています。 セザンヌはこの町で大学まで暮らしました。 その後パリに移り住みましたが、この町を愛し、晩年はパリから戻り、近郊のサント・ヴィクトワール山などをモチーフに製作を続けました。

Santons Richard

工房の様子1

Santons Richard

工房の様子2

エクス・アン・プロヴァンス、フランス

エクス・アン・プロヴァンス